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IPアドレス判明で操作が終わった、と思っていたらなりすましウイルスでした、事件について

今日時点で進展してるのかしてないのか分からないこの事件。
職業柄、非常に興味がある事件なので、少しまとめてみたいと思う。

まずは、ざっくりと経緯を終える記事へのリンクを貼ってみる。今回は特殊な事例でもあるので念のために全てのサイトの魚拓(記録)を取得している。もしも元リンクが見えなくなった場合は魚拓をクリックすると元記事のキャッシュデータが閲覧出来る。
非常によくまとめられているサイト。まずはここを一通り見れば事件の全容が見えるでしょう。
真犯人による犯行声明メール全文まとめ/Satoru.net 魚拓
「ITmedia」へのリンク。
「無差別殺人」書き込みはなりすまし 起訴の男性を釈放 外部からPCを完全乗っ取り 魚拓
誰でも「犯人」にされる恐れ ウイルス感染でPCを完全遠隔操作 魚拓
なりすまし事件、遠隔操作プログラムは「iesys.exe」 無料ソフトダウンロードで感染か 魚拓
なりすまし事件、想定外が油断に 警察、被害者に自白強要か (1/2) 魚拓1 魚拓2
Twitterの反応を一部まとめ。
なりすましウイルスで誤認逮捕に非難轟々 – さまざまなめりっと 魚拓
私が言いたいこと、FBで呟いたことなどはそれぞれのリンクでほとんど語られているが、改めて考えをまとめる意味も含めて。
そもそも「IPアドレスが判明すれば、捜査は半分終わったようなものだと思っていた。想定外の事態ですよ」と言ってる時点でこの国のサイバー犯罪に対する認識の低さが致命的であることを表しているように思う。我々が知らないところでサイバーテロもやられたい放題なのかも。これは非常に恐ろしい。
そして、こういうコメントがマスコミによって報道されることがどれだけ恐ろしいことか、ということを理解してない、ということも非常に恐ろしい。日本の警察が如何にネット社会に対応出来てないか、ということを世間一般どころか世界中に知らしめてしまったということに気付いていないのか(翻訳されてニュースに乗っていれば、の話だが)。
ここ最近の著作権絡みの法律改正にも目を向けざるを得ない。
いろいろな形で法改正されてきたが、インターネットの仕組みがこれだけ理解されてないのであれば、これらの法律が「誤った使われ方をする」可能性も否めない。
今回、犯人からの声明で「誤認逮捕」ということが明らかになった人の中には「自白」した人がいることも注目すべき点の一つ。これがどういうことか、もう一度よく考えてみる必要がある。
要するに「自白」さえさせてしまえば、その「動機」などはどうにでも作らせることが出来る、ということ。
警察を監視する組織の設立、取り締まりの様子を監視するカメラの設置などが今後より強く求められることになるかもしれない。
警察が「捜査を尽くした結果」と言ってるようだが、IPアドレス特定だけで「捜査を尽くした」なんて言えるほどネット犯罪は簡単なものではない。
世界中の技術者がいろいろな手を尽くして防御し、それを更にいろいろな手を尽くし突破するクラッカーが存在する。中には国を挙げて、クラッキング集団を作り、情報収集に努めている国もあるだろう。
そういう人たちからすれば、今回の日本の警察が「自白」した「IPアドレスが特定されれば・・・」のくだりは、格好のターゲットを見付けたようなものである。
この件を受けて、これから日本のサーバに対するアタック行為は今まで以上に増えることになるかも知れない。そして、そこを踏み台にした様々な犯罪が今まで以上に増えるかも。
サーバ管理者の皆さん、気合い入れていきましょう(そこ?)
そして、警察もマスコミももっとインターネットのことを勉強しましょう。
これからの犯罪とインターネットは切っても切れない関係になることはほぼ間違いないでしょう。
そのうち、また偽装メールとかでやられることになりかねませんよね、この状況では。
そして、インターネットをただただ使っている皆さんももっと勉強しましょう。
今回の件で「何も知らなくても逮捕される可能性がある」ことが明らかになった以上、「よく分からない」じゃ済みません。自己防衛は必要です。
よく分からないまま過ごしたいなら、せめてウイルス感染の可能性が低いパソコン・端末を使いましょう。それだけでも今はまだ充分自己防衛出来ます。
いろいろなことが明らかになったこの事件。
誰もがしっかりと注目し、経緯を見守っていくべき事件です。今後の動きを注視しましょう。

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