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2025年2月18日にリリースされた「あはき・柔道整復師広告ガイドライン」について、Webサイトに関係する部分を解説

当方、クライアントにいわゆる整体院が複数あります。
実は整体院、については広告や発信についてかなりガチガチの規制があります。
その辺りについて2025年2月18日、厚生労働省よりガイドラインがリリースされていますので、そちらについて少し解説してみたいと思います。

※出来る限り独自解釈をしないように解説したいと思います。
疑問・質問は受け付けますが、厚生労働省の該当窓口もしくは各地域にある保健所などにお問い合わせいただいた方が確実かと思います。

今回発表されたガイドラインについて

今回発表されたガイドラインは非常に長い名前になってまして・・・

「あん摩業、マッサージ業、指圧業、はり業、きゅう業、若しくは柔道整復業又はこれらの施術所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針 ~あはき・柔整広告ガイドライン~」

です。

ガイドラインはこちらからダウンロード出来ます。

また、こちらのガイドラインの策定を行った検討会の議事録などはこちらのサイトから閲覧出来ます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_547242.html

2018年から検討が始まって、ようやくのリリースです。コロナ禍もありましたので、その間は検討会自体がなかったようですね。

ちなみに「あはき」とは「あん摩、はり、きゅう」の略です。この3つの職業は「あはき師法」という法律で広告含めてかなりガチガチにいろんなことが定められています。

ガイドラインの「趣旨」について

どういったガイドラインなのか?というのは「趣旨」を読むと分かるのですが、抜粋するには長くて若干表現が回りくどい(お役所文章の典型・・・)ので、ざっくりと解説します。

そもそも上記「あはき・柔道整復業」に関する広告については「医療行為ではない」という制限のもと、かなり規制されています。書いてはいけないことがとにかく多く、いわゆる「広告」として「自分の事務所の特徴をアピール」することが非常に困難、というか、ほぼ無理です。

ただ、それでも脱法的な表現や広告してはいけない媒体で宣伝する(店頭の旗なども禁止)事業所が多く、利用者の安全も確保出来ない(実際に事故も起きている)、無資格者の広告も増えている、という状況。
そのため、あはき・柔道整復師に関する広告だけではなく、無資格者による広告も含めて、広告のあり方に関して検討を行ってきた結果がこのガイドラインになります。

ここで言う「広告」とは?Webサイトは該当するの?

このガイドライン、あくまで「広告」に関するガイドラインになっています。

ここで言う「広告」とは次のように定義されています。

1.利用者を施術所等に誘引する意図があること【誘引性】
2.施術者の氏名又は施術所等の名称が特定可能であること【特定性】
3.一般人が認知できる状態にあること【認知性】

少し具体的にも書いてありますが記述してあることも含めた形で解説します。

1.の【誘引性】ですが、これは施術者もしくは施術所(店舗)にお客様が来ること(利益)を期待している広告かどうか、ということとのこと。
なので、例えば、利用者が自発的に体験手記を書いたり、新聞記事などのメディアで取り上げられることは「特定の施術所などを推薦している内容であったとしても」【誘引性】の要件は「満たさないものとして考える」そうです。

2.の【特定性】は複数の施術者や施術所などを対象にしている場合でも該当するとのこと。

3.の【認知性】は特にインターネット上の情報提供者との関係で問題になるとのこと。

ということでガイドラインには「これは広告に当たりますよ」という事例がいくつか書いてあります。
これを読む限り、いわゆる「ステルスマーケティング」系の広告は全てNGということが分かります。

では、Webサイトはどうなのか?というと、自分で公開してるWebサイトについては「広告規制の対象にはならない」そうです。
しかし、その後に但し書きがあり「ウェブサイト等の内容の適切な在り方についても本指針に定めることにより、関係団体等による自主的な取組を促すこととした」という非常に曖昧な表現が加わっています。

「広告規制の対象」に該当するものとして、インターネット上であれば、電子メール、バナー広告、施術所等紹介(仲介)サイトの紹介ページ、リスティング広告、動画広告、SNS広告などが該当するとのこと。いわゆる「ネット広告全般」ですね。

具体的にWebサイトに関連するのは?

では、ガイドラインに記載している内容で、Webサイトに関連する部分を抜粋していきます。

WebサイトのURLやメールアドレスに注意

ガイドラインの7ページ目に書いてあるのですが、例として挙がっているのは

www.katakorinaoru.ne.jp

というURL。
「katakorinaoru = 肩こり治る」なので「肩こり」が治癒することを暗示している。
施術の効果に関する事は広告可能な事項ではない点、また、施術の効果を保証しているという誤認を与える恐れがあるため認められない、とのこと。

自費での施術を行う施術所などがサイトに掲載すべきこと

自費施術を行っている施術所などがサイトに掲載する内容として、書かれている内容は以下の通りです。
ガイドラインに記載されている文章が分かりにくいので、すみません、こちらで表現を替えています。

  1. サイトに掲載している情報について、サイトを閲覧している人が容易に照会できるよう、問い合わせ先を記載すること。もしくは問い合わせするための方法を提示すること
  2. 自費の施術で行われる施術の内容や費用について記載すること
  3. 自費の施術で起こり得る主なリスクや副作用について記載すること

1.についてはそのままですね。問い合わせ先の明記もしくはお問い合わせフォームが必要ですよ、ということになると思います。

2.についてですが。
自費の施術の場合、保険診療ではないので、内容であったり費用がそれぞれ異なります。
なので、その内容を明確にして料金等に関するトラブルを防止する、ということになります。
ただ、実際に施術前に状態のチェックを行わないと料金がはっきりしない、という場合でも、通常必要となる施術の最低料金〜最高料金までの範囲を示すなどして可能な限り分かりやすく表示する必要があるようです。
更に、プリペイドカードや回数券についても、受けられる施術の内容や契約の内容を利用者が「正確に」理解して購入できるよう表示が必要です。

ちなみにいずれの項目でも「適切かつ十分な情報を分かりやすく」提供する事が大事だそうです。

逆にサイトに掲載すべきでないのはどういうこと?

サイトに掲載すべきでない内容についてもガイドラインに記載があります。

  1. 虚偽の内容、または客観的事実であることを証明できない
  2. 比較することで自らの優位性を示そうとする
  3. 誇大な内容、または自分の施術所などにとって都合がいい情報を過度に強調している
  4. 早急な受療を過度にあおる、もしくは費用を過度に強調する
  5. 化学的な根拠が乏しい情報に基づいて、利用者の不安を過度にあおる表現を用いることで性術所などへの受療を不当に誘導する
  6. 公序良俗に反するもの
  7. 品位を損ねる内容のもの
  8. あはき師法、柔道整復師法以外の法令で禁止されるもの

ざっと見ても「まあそうよね」と思えることばかりなのですが、内容的には厳しい内容になっています。
解説が必要そうな項目を抜粋して解説します。

1.について「虚偽の内容」は分かりますよね。「うそはよくない」です。
「客観的事実」について、例として挙げられているのは
・絶対安全な施術です、絶対に治る施術
・どこに行っても治らなかった方、諦めないで当院にお越し下さい
・痛みのない骨盤矯正、痛くない独自の整体術で驚きの効果
・からだにやさしい、穏やかな手技療法
・厚生労働省認可○○専門術
・根本治療。○○を解決します。○○に効きます。○○の治療率○%。
・加工や修正した施術前、施術後の写真などの掲載
など、かなり細かく記述があります。
これは是非目を通していただきたいですね。「あ、この表現もダメなんだ」と私も驚いています。

2.についてはいわゆる「地域一番」「日本一」「No.1」「最高」みたいな表現は全てダメとのこと。
「口コミサイトで1位を獲得」「全国優良○○院」「○○に掲載」「著名人が施術を受けている」などもダメです。
また、「ウェブマッピング」という表現をしていますが、これ、Google Mapなどの事でしょうね。
Google Mapなどの口コミ欄への記述を「依頼」したり「謝礼を払う」などして、自らの施術所などが「いいですよ!」みたいな印象を与える書込はダメです。

3.についてはガイドラインの表現が分かりにくいのですが・・・・
「それって当たり前じゃん」ということを誇張したり、過度に強調して掲載することはダメです。
活動実態のない団体による資格認定を受けた、であったり、施術所等の機能などについて利用者を誤認させるような「任意の名称」(多分、「○○交通事故相談センター」のような名称でしょうね・・ちなみに「○○」は地域名です)は不当に誘引する恐れがある、とのことでダメです。
写真についても、加工がダメなのは当たり前の条件なのですが、「撮影条件を変えた」り、「被写体の状態を変えた」りして撮影した「施術前・施術後」の写真を掲載することはダメです。当たり前なんですが、やってるところ多いんですよね、これ。
体験談についても、施術所などにとって便益を与えるような感想を意図的に取捨選択して掲載するのはダメとのこと。まあ正直、体験談で自分の施術所を悪く言ってるようなものを掲載する事業所はないので、実質「体験談や利用者の感想は載せちゃダメ」と言われてるようなものです。
個人的にこれがどこまで該当するのか分からないのが「提供される施術の内容とは直接関係ない事項による誘引」です。施術所でマルシェやります、もNGということですよね、これって。

全体的に「過度な強調」がダメ、なのでしょうね。
費用の安さを過度にアピールするとダメ、「こんな症状は命に関わるのですぐに受療して」というのはダメ、「うちの施術は効果が高くてお勧めです」はダメ、比較としては「この施術は効果が乏しくてリスクも高いので、新たに開発されたこちらの施術をお勧めします」もダメ。

つまり「営業色少なめ」のサイトであれば問題なさそう

一通り目を通してみて感じたのは「営業色が薄めのサイトなら問題なさそう」かな、と。

分かりやすく言えば、病院のサイトですね。
やっていること、できることを誇張せずに淡々と記載することが大事です。

というわけで、ザックリとですが、解説をしてみました。
該当する業種の方はガイドラインに目を通されることをお勧めします。特に「広告の定義」が思いのほか広いので、ご自身の事業所が行っている活動が「広告」と見なされないよう注意が必要です。

なお、エムティ・デザインは今まで数件の「整体院」「整骨院」のWebサイトやパンフレットを手掛けてきました。
法律などについてもしっかりと踏まえた上で、曖昧なところは厚生労働省や管轄の保健所、都道府県に問い合わせをして、丁寧にサイトを構築しています。

もし今のサイトがガイドラインなどに適合しているか心配だったり、ガイドラインに合わせたリニューアルを検討されているようであれば、一度ご相談ください。
近いところであればお伺いしますし、遠方であってもZoomなどでリモートミーティングにてお話をお伺いします。

お気軽にお問い合わせいただければと思います。

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