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防災システムに人生を賭けるエンジニア集団の軌跡「防災アプリ 特務機関NERV」

「軌跡」と書くのはちょっと悩んだのですが、まだ「道の途中」ですね、読む限り。
Twitterアカウント「特務機関NERV」から始まった「日本最高峰、いや、世界最高峰とも言える災害情報インフラ」を構築したエンジニアの物語。

「アプリの開発日誌」みたいなものを想像すると全く違う。
「ゲヒルン株式会社」石森大貴 代表取締役の心の内がベースに描かれている。
彼の心情や哲学を描くことを基本に、彼の魅力に引き込まれていった人たちの証言を踏まえて書かれた。
なので「技術書」「開発日誌」のイメージを持たれているのであれば早々にそのイメージは排除いただきたい。

ただ、アプリを開発する上で考えるべきこと、思想信条の持ち方については、気持ちの変化の流れを含め、かなり細かく書いてある。

防災アプリ 特務機関NERV

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川口 穣
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実はこの「ゲヒルン株式会社」のサービスを利用したことがある。
実は2012年にゲヒルン(株)が提供していた「RS2」というVPSサービスを複数・・・確か3台くらい契約していた。
その時、各サーバに付けられた[サーバ名]が変更できず、サーバの識別が難しかった。
何か変更出来る機能があるのかないのか分からなかったので「サーバの表示名の変更の仕方を教えて欲しい」とサポートに連絡。
すると「すぐに実装します」とメールが届き、その2日後には「変更出来るようにしました」というメールが。
たかだか1ユーザーが「こういう機能があるといいな」と思って聞いてみたことにすぐに対応するフットワークの軽さと対応速度に「これは面白い会社だなあ」と驚いた記憶がある。
そして、この本を読む限り、時期を考えると石森社長自身が返信してくれたのかな、と。それはそれでよけいに凄い。

そういったズバ抜けたフットワークの軽さと、思いついたことをすぐに実現出来るだけの技術力があるからこそ「防災アプリ 特務機関NERV」は開発できたことが分かる。

それだけ凄い方なので、彼の元にはやはり凄い人が集まる。
技術力、能力の高い人が集まってきて、今のゲヒルンがあることが分かるし、「防災アプリ 特務機関NERV」が開発されていることがこの本を読むと分かる。

なかなかこうやって「一つのサービスがリリースされている過程」が手に取るように味わえる読み物は少ないように思う。
私自身、エンジニアリングは機械やコンピュータを相手にするものだけど、実はいちばん大事なのは人との対話であり、利用するのは人なので、如何に人のことを考えられるか、だと思っている。
この本はまさにその点においては非常に参考になることが多い一冊になっている。

つい先日、2022年3月11日で東日本大震災から11年。
今だからこそ読むべき本。是非読んでみて欲しい。

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