このニュースをネットで見た時、正直、目を疑った。
「Facebookページを作りました」ならまだ分かるが、「完全移行」って何?と。
どうやら市のサイトを全て「Facebook」上へ移行する、ということらしい。
私はこのニュースには違和感を覚えた。
私は今までいくつかの市町村サイト向けサーバの構築や管理を行ってきた。その全てが「住民サービスとしてのWebサイトやWebサービスを提供するためのサーバシステム」である。
今回の「市のホームページ」つまり、自治体のホームページは「住民へ自治体の情報を迅速かつ正確に伝えるための媒体の一つ」である。
私が業務をやらせて頂いた時に、自治体の担当部署の方々や一緒に仕事をさせて頂いた方々は事あるごとに「住民サービスだから」を繰り返した。
住民サービスである以上、どうすれば住民が使いやすいか、住民へ迅速に情報を提供するにはどうすればいいか、を常に考えなければならない。
そのため、たとえメンテナンスであろうともシステムの停止にはものすごく気を遣うし、サーバ障害が発生したときには迅速かつ正確な対応が必要となる。
と同時に、いろいろと政治的な配慮も必要となってくる。
このあたり、実は民間のWebサービスよりも気の遣い方が半端ない。
個人的にはそういう配慮が必要なものを海外の一般向けサービスに委ねてしまう事には非常に違和感を感じる。
要は自治体側でハンドリング出来ない部分があまりに多すぎるため、実際の運用が始まってから、果たして住民サービスの体を成すのかどうか非常に疑問である。
また、インターフェイスについても、Facebookは、あれほど使いにくい、分かりにくいインターフェイスのサービスである。そこに今や住民サービスの核とも言えるオフィシャルサイトを完全に移設するというのは、果たして住民サービスの体を成すのか?という点でも疑問を感じざるを得ない。
もう一点。
Facebookへ移行する理由が非常に分かりにくい。
実はこういう形でシステムの移行を行う場合、理由付けを含め、相当大変な手続きが必要になるはず。
このあたり、どういう手順を踏んだのか、いろんな意味で非常に興味がある。
まさか、いくつかのサイトに記載されていた「職員がアクセス動向を把握しやすいから」じゃないよね?とだけ釘を刺しておきたい。
繰り返しになる部分もあると思うが。
自治体のサイトというのは完全に公共のものである。
と同時に住民サービスの一つであり、ここ数年は住民への情報伝達の手段としては最も重要視されているのがWebサイトである。
ということは、自治体サイトが目指すべきは
・老若男女が使いやすいサイトの構築
である。つまり
・必要な情報へすばやく到達できるための情報の分類・整理とインターフェイスの提供
要するにアクセシビリティの向上と提供する情報の取捨選択及び整理が非常に重要となる。
今回の武雄市の動きが果たしてこれに合致するのだろうか。
せめて、観光PRのためのFacebookページなら「かなりあり」なんだが・・・まさか全面移行とは思ってもみなかった。
住民サービス=住民の税金である、という点を今一度、武雄市の職員は見つめ直して欲しい。
私が住む市のサイトがそんなことになったら呆れかえって卒倒すると思うけどな。
とりあえず8月1日の移行を楽しみにしておきましょう。