インターネットのメリットでもありデメリットでもあるのが「いつまでもデータが残る」こと。
不慮の事故や病気で亡くなった方のSNSがそのまま残っているのを時々見ると悲しいものがあります。
故人を偲ぶ、という意味では残っていてもいいのでしょうけど、消したいものもある、という人もいるかと思います。
また、過去のいろいろな書き込みなどで「忘れて欲しいもの」が残っていることも多々あります。
最近はそういうことに対応する動きが活発化してきたようです。
※追記
「Yahoo!エンディング」について、実際は無料ではないということですので、その旨追記しています。
この「忘れられる権利」についての議論は随分昔から行われていたように記憶しているが、最近、大きな動きがありました。
Googleが「忘れられる権利」の行使に振り回され右往左往
「忘れられる権利」認める、グーグルにリンク削除命令 EU司法裁 | CNN.co.jp
EUの裁判所がGoogleの検索結果から特定の個人情報へのリンクを削除せよと裁定 | TechCrunch Japan
詳しくは記事を読んで頂くとして、これらの命令を承けて、Googleもいくつかの対応を行っています。その中でも大きいものは下記です。
Google、「忘れられる権利」対応の削除リクエストフォームをEUユーザー向けに公開 | ITmediaニュース
Google、“忘れられる権利”対応を開始 忘れられたい人が逆に目立つ混乱も | ITmediaニュース
Googleの法務責任者、“忘れられる権利”について欧主要メディアに寄稿 | ITmediaニュース
全体をざっくりと要約すると
・欧州司法裁判所は「忘れられる権利」を尊重すべきであるとし、個人の要求に応じて、「不適当」で古いリンクの削除を命じた
・Googleは欧州司法裁判所の命令を受けて「忘れられる権利」に対応するための「削除リクエストフォーム」をEUユーザー向けに公開した
・すると、英Gurdian誌やBBCなどから複数の記事へのリンクが削除されている、とクレームを受け、それら記事へのリンクを復活
・Googleは「忘れられる権利に基づく判断がとても難しい」と吐露。英Gurdian誌も「話し合いをする必要がある」と寄稿
つまり、裁判所は「どうにかしろ」と言ったので、どうにかしてみたら、メディアから「消すな」と言われ、元に戻して「どうしようか?」という状況。
明確なガイドラインがないまま、裁判所の命令に従ってみた結果がこういうこと、という。
どこの国も司法は現実に追い付いてないですし、やるなら関係各所を集めてコンセンサスを取って・・・という日本的やり方の方がこういうのはすんなり進むのかな、と個人的には思ったりしています。
いずれにせよ、プライバシーの問題や知る権利の問題、公人に関する問題など、いろいろな問題が複雑に絡んでいるので、安易に決めずにいろいろな業界とのコンセンサスを取りつつ、司法関係者の意見も聞きつつ慎重に進めていく必要があるのだと思います。
などといってるとマイクロソフトも「忘れられる権利」に対応
マイクロソフトも「忘れられる権利」に対応、欧州で個人情報削除 | ロイター
と、まだまだ揉めてる状況ですが、そんな中にマイクロソフトも「忘れられる権利」に対応してきたというニュース。
米マイクロソフトは16日、同社のインターネット検索エンジン「Bing(ビング)」からの個人情報削除を希望する欧州の利用者への対処を開始した。欧州司法裁判所が5月、個人情報の削除をめぐり、「忘れられる権利」を認める判決を下したことが背景にある。(ロイターの記事より引用)
まだいろいろと揉めてる状況なのに、とりあえずマイクロソフトも「消しますよ」という意思表明をしました。
この対応の早さは通常褒められるべきなのですが、現状を踏まえると「話し合いをしましょう」というところに参加してまとめていく動きをしていった方が賢明な気がしないでもないです。
いずれにせよ、業界全体が「忘れられる権利」への対応を余儀なくされるであろう、という予感はこれらの動きから見て取れますので、欧州以外でも近々似たような動きがあるかと思います。
日本では自分や家族の死に備える「Yahoo!エンディング」というサービスが開始
日本では少し毛色が違いますが、Yahoo!Japanが新たなサービスを始めました。
自分が死んだら課金停止、「Yahoo!ボックス」のデータ削除……死に備える「Yahoo!エンディング」 | ITmediaニュース
ヤフーは7月14日、自分や家族の死に備えるWebサイト「Yahoo!エンディング」を開設した。ユーザーの死亡が確認できた段階で、生前に利用していた「Yahoo!ウォレット」の課金を停止したり、「Yahoo!ボックス」のデータを削除するサービスなどを備えている。葬儀関連情報サービスの鎌倉新書と協力して運営する。
「エンディングノート」というものが注目されていますが、その「エンディングノート」のネット版という感じです。
自分が死んだ時には最大200人に対してそれぞれにメッセージを送信出来るサービス(Yahoo!プレミアム会員は無料、そうでなければ月額180円)などもあります。
死亡確認については公的証明書を元に確認するため、なりすましなどが行われにくいとのこと。
ちなみにサイトには「無料」と謳われていますが、実際は鎌倉新書の「生前予約プラン」の契約が必須となっており、その「生前予約プラン」が204,000円とのこと。
ですので、実際は登録した途端に最終的には204,000円の支払いが乗っかってきます。分かりにくい。
Yahoo!エンディングが「無料」を訴求してるが実際は「20万円」かかる件
これからこのような「死」を意識したサービスは増えてくるものと思われます。
個人的にはどんなに若くても「死」に関する準備はしておくに越したことはないと思っていますので、今のうちに準備しておくのもいいのではないでしょうか。